地域を広報で元気に![広報コンサルティング・プレスリリース作成・広報研修・広報セミナー]
PRのWA!
イラスト
  1. トップ
  2. PRのWA!
  3. 広報コラム「おもしろい企画には“裏切り”がある」
広報コラム中小企業

広報コラム「おもしろい企画には“裏切り”がある」

2020年9月からスタートしたコミュニティ型広報勉強会「みんなで広報会議」では、毎回様々なテーマでメンバーの事例共有、悩み相談などを行っています。

2023年5月の33回目は京阪神の店や文化、歴史などをユニークな切り口で企画出版し、市民講座「ナカノシマ大学」などのイベント企画も手掛ける140Bの中島淳さんを講師にお招きして「企画・編集で大事にしていること」をお話しいただきました。その時の学びの一部をご紹介します。



ところどころ裏切ることが必要

中島さんが本やイベントの企画で大切にしていることは、「ところどころ裏切ること」だと言います。とかく私たちは一度成功した企画を定期的に繰り返しがち。しかし、まったく同じテーマとやり方では相手の想定内にとどまるため、いずれ退屈させてしまうリスクが生じます。

「お約束の定番や、ドル箱も大事」と経営の視点からの見地を述べつつ「でも、そこに安住しているとダメになる」と、現在と未来への種まきのバランスを説きます。

確かに、昨年うまくいった企画が今年は成果があがらないといった経験は皆さんあるかと思います。また他社の成功事例を参考にした企画がうまくいかないことも少なくありません。相手を惹きつけ続けるための変化や独自性は企画にとって常に意識すべき要素です。

中島さんが、新しい企画を考えたり、決定したりするプロセスもまたユニークです。チームに入れるのは、考え方が自分と違う人。まったく違う場所からボールを投げてくる存在があると、自分だけではできないような何かができるそうです。

マーケティングはあまり重要視しません。なぜなら「それらは過去と今しか反映していないから」。全員が賛成する企画も選ばないといいます。最終的に選択するのは、次に来そうなもの、そして自らが面白いと感じるもの。

ここで質問が挙がりました。自分が面白い、やりたいと思う企画をいかにして社内で通して行くか? よほど自分が決定権を持つ立場でなければ、企画者にとって越えなければいけない大きな壁です。

中島さんはそんな時、説得したい相手にとって“傾聴するに値する人”へ先に意見を聞きに行くそうです。「〇〇さんは『ごっつええやん』って言っていました」。そんな懐刀を忍ばせ、相手の説得に向かうのだとか。

「僕は弁が立たないから」と笑う中島さんが行きついた苦肉の策。手ごわい相手を説得する際には、一度試してみたい手法です。



街に出ること、人に会うこと

新たな発想で企画を生み出すには、多くの情報に触れることが大切です。中島さんはこのため毎朝、新聞を読んでから仕事を始めるそうです。

じっくり読んで理解するというよりも「見出しを脳に焼き付ける感じ」。社会で何が起きているか、を確認することで新たな発想を得たり、現在進行形で練っている案をブラッシュアップしたり、といったことにつながります。

さらに大切なこととして教えていただいたのは、街に出て変化を肌で感じること。「少しの時間でも歩けば『新しい店ができている』『新しい道ができている』など変化に出会える」と、中島さんは楽しそうに語ります。

もちろん逆に「あの店なくなってるやん」といった少し悲しい変化に出会うことも。しかし、新たに生まれるのも無くなるのも、両方が変化。それらを実際に肌で感じ、その変化が起きた理由に思いを巡らせることは、企画の背景を深めることになります。

そして、情報収集の上でもっとも大切なこととして中島さんが挙げたのは、人に会って話を聞くこと。「ちょっと違う人生を歩んだ人と会うことで、視点が増える」と力説します。これは、企画時のチーム構成で、自分と異なる意見を持つ人を入れるという先の手法と同様。

中島さんは一見して独創的な方ですが、実は自己完結せず客観的な視点を取り入れることにこだわっているのが、お話の端々から窺えます。日々、情報を集めて自分で面白いと思えるものを考え、一方で別の視点を取り入れてさらに膨らましていく。この繰り返しが企画の完成度を高める秘訣と言えそうです。



それぞれが考える新たな取り組み

今回、お話しいただいたことは本や市民講座の企画に限らず、別の業種・業態でも応用可能なものです。スポーツ教室を開いている参加企業は「今年、最大規模の生徒が集まったイベントがあったが、来年まったく同じものをやるかどうかを考えさせられた」と、企画の踏襲を立ち止まりました。

「参加した生徒はどういった生徒か?参加しなかった生徒はどういったイベントであれば参加するのか? いまいちど検証してみたい」。来年の企画に向けて思考を巡らせています。

「自分が面白いと思うことを、と言ってもらえたのが背中を押されたような感じ」とホッとした表情を見せるのは、子育て関連のNPO代表を務める参加者。スタッフがみな子育て現役世代ということもあり、準備に時間がとられるイベントなどへの関与が人によって限られるのが運営の難しいところだそうです。

中島さんが出した提案は、「地域でファンをつくり、引き込む」外部との連携。スタッフだけでやることや、同じ立場や同じ考えを持つ人だけでやることにはどうしても限界があります。

そんな時には外部を頼ってもいいのです。地域に根ざし、活動続けてきたNPOであればなおさら、ファンづくりや地域の人を巻き込むことはけして高いハードルではありません。「ちょっと違うところの方と一緒にやることを進めたい」。そのNPO代表は笑顔で新たなチャレンジを語ってくれました。

みんなで広報会議は、各社の経験を共有することで、自社だけで試行錯誤するよりも、早く経験値を積み上げることができます。最近は各社の事例発表だけでなく、広報に関連した分野の専門家にアドバイスいただくことで、単なる相談ではなく、解決につなげる方法を掘り下げています。


みんなで広報会議についてはこちら

https://www.prlink.co.jp/service/everyone/

お問い合わせ

問い合わせ