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インタビュー中小企業

「ココウェル」が目指すのは、フィリピンと日本が互いに手を取り合える未来

株式会社ココウェル 代表取締役 

水井 裕さん

日本初のココナッツ専門店「ココウェル」を2004年に創業。以来、株式会社ココウェルは、フィリピンと日本の架け橋となるべく、ココナッツ製品の開発・販売をしながらココナッツの魅力やフィリピンの現状などを伝えてきました。2022年には北堀江で6年間営業した「ココウェルカフェ」を閉店し、大阪市浪速区に工房を併設した「sari sari store(サリサリストア)」をオープン。ココナッツ製品をお店や自宅で気軽に味わえるリアルな情報発信の場をつくる新たなチャレンジも始めています。

日本で早くからフェアトレードをテーマに取り組んできた代表の水井裕さんは、フィリピンと日本の今、そして未来をどのように描いているのでしょうか。


ゴミ山を漁る子どもの姿を見て

大学で環境の授業を受けて興味を持ち、卒業後は環境系の専門学校へ進みました。ゴミ問題を学ぶために訪れたフィリピンで、ゴミ山を訪れたのですが、僕はゴミよりもゴミ山を漁る子どもに目がいったんです。あちこちから煙が上がる危険な場所で、お金になる鉄やプラスチックを集めている。衝撃を受けました。


──それが原体験なんですね。

調べてみると、多くが農村から出稼ぎに来ている人だとわかりました。仕事を求めて都会にくるけど、仕事は簡単には見つからない。そこで少しでもお金を得ようとゴミ山に人が集まってくる現状がありました。農村に実際行ってみたら、あちこちでココナッツが栽培されているのがわかりました。でも、ココナッツ農家はまともに収入を得られていなかったんです。

──なぜでしょうか。

フィリピンは元々アメリカの植民地。ココナッツオイルの美味しさや機能性を知っている先進国から、安く買い叩かれていたんです。農家さんでもココナッツオイルやココナッツシュガーの作り方を知らないから、ココナッツのままで卸すしかない課題がありました。それならば、ココナッツを軸に農家さんの仕事を作れるのではないかと思ったんです。


フィリピンと日本を繋ぐ数々の取り組み

──そこからココナッツ製品の企画・製造・販売をされ始めたんですね。社会貢献にも意欲的です。

フェアトレードですので、適正価格で買い取るのはもちろん、契約後、納品よりも先にお支払いして農家さんの収入が安定するようにしています。


──商品一点につき10円がフィリピンと日本を繋ぐ社会貢献活動に使われる「COCO FUND PROJECT」も実施し、農家さんの機材購入費や災害時の支援金として使われています。

僕たちの根っこにあるのは、農家さんのために何かしたいという思い。ココナッツで得た売上をもう一度現地に還元する活動は、今後も継続していきたいです。


──創業から19年になりますが、これまで印象的だった出来事はなんでしょうか。

2013年に発生した大型台風ハイヤンの被害です。二週間後に現地入りしましたが、こんな光景は見たことがないってくらい悲惨な状況でした。フィリピン全土のココナッツの10%に相当する約3400万本が倒れ、多くの農家が生活の糧を失いました。でも、多くの方がクラウドファンディングを通じて寄付してくださり、現地で必要な食材や衛生用品を配布しました。その後、台風で倒れた木を再利用して食器や雑貨をつくる「ココウッドプロジェクト」も立ち上げ、利益のうち50%を農家の収入として還元しました。あの災害によって僕らも現地支援の方法を身につけることができました。


──さまざまな関わりの中で、農家さんの変化は感じていますか。

現地での影響力は年々増してきていて、「ココウェルと取引したい」と言ってくれる農家さんもいますね。以前、ご自宅にお伺いする機会があったのですが、「おかずが一品から二品に増えた」「教科書を買って学校へ通えるようになった」など、ご家族の変化を聞くことができました。長く続けることで、農家さんの仕事をつくるだけではなく生活改善や教育環境にもアプローチできるようになってきています。


フィリピンのことを知ってもらうため情報発信にも注力

──情報発信にも力を入れられています。PRリンクも、プレスリリースの制作からお手伝いが始まりました。

初めてリリースを出そうとした時、全くやり方がわからなかったので、書き方や出し方を一から教えてもらいましたね。


──その後、季刊誌「ココナティスト」の制作にも関わらせてもらっています。ココナッツの栄養素、レシピ、現地レポートなど読み応えのある冊子です。

通販で買ってくれる方とは、物とお金の交換で終わってしまうことがほとんどです。ココウェルやフィリピンの情報を伝えるためにも冊子があると便利ですし、商品の新しい使い方を発見してもらったり、他の商品にも目を向けてもらったりするツールにしたいと取り組んでいます。定期的に発行することで、会社への信頼度は増していると感じています。


──「サリサリストア」もオープンされて、フィリピンの空気を日本で感じられる実店舗をもたれました。

現地の言葉を使うことで、フィリピンのことを伝える機会を増やして、少しでも興味を持ってもらえたらと思います。


──なるほど。それも踏まえて、今後チャレンジしたいことはありますか?

教育機会をつくり現地に雇用を生み出していきたいです。2015年から2020年にかけての年平均人口増加率は1.63%(フィリピン統計庁)。子どもの数は増えていますが、教育環境が追いつい

ていないんですね。だから、現地で事業をして力になりたい。と同時に、フィリピンのココナッツ料理のレベルをあげたいと思っています。例えば、外国人技能実習制度を使って日本でココウェルのアイスクリームやカレーのレシピを学んでもらい、帰国後お店をお任せするなんてことができないかと考えています。


──フィリピンと日本それぞれで必要なことをしていくことで、お互いが対等に手を取り合える未来がやってきますね。今後も、PRリンクもそのお手伝いをさせてもらえたら嬉しいです。

掲載日:2023/3/9

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