お客様インタビュー VOL.4 「行政文書のようなプレスリリース」から脱皮

豊中市役所
政策企画部 広報広聴課(当時)
村井正太さん
大阪の巨大なベッドタウン、豊中市。新幹線が停車する新大阪駅や大阪国際空港に近い「利便性の良い住宅都市」として人気を集めています。日本初のニュータウンができた地でもあるため、ビジネスマンより生活者が多いのが特徴。そのため、市民向けの広報誌は他の自治体より充実させてきた一方、各担当課がプレスリリースを活用して市の施策や取り組みをお知らせする情報発信は、まだまだ不十分と感じていたと言います。
より多くの市民の皆さんに市の施策を知ってもらうには…。

豊中市が市民に配布している広報誌「広報とよなか」
関西初となる公園での保育所整備や、「音楽あふれるまち・豊中」と銘打って、毎秋に「とよなか音楽月間」を設け、街中のあちこちで音楽イベントを開催するなど、先進的な施策を数多く手がける豊中市。新しい施策が打ち出されると、広報広聴課が施策の担当課を取材し、プレスリリースを書くのが従来のやり方でした。しかし、平成27年からは、「施策立案・実施の主役は担当課」という考え方のもと、担当課自らがプレスリリースのベースを書くという方向に転換。課としての広報力が高まるとともに、新聞などで課の施策を取り上げてもらうことで、広報誌をじっくり読まない層にも情報が届くのではないかと考えました。
ところが、「プレスリリースの様式に単に行政文書を流し込むケースが多く、広報力についての意識や理解が全般的に十分浸透していないのではないか」と広報広聴課(当時)の村井正太さん。そこで、PRリンクに広報研修を依頼することに決めたと言います。
社会性をPRするリリースは自治体とよくなじむ。

研修で講師を務める神崎
他社ではなく、PRリンクに依頼した理由について、村井さんはこう話します。「行政広報には特殊な面が多く、民間企業向けのセミナーはそのまま当てはめにくいところがあります。ですが、PRリンクさんの場合は、豊中市の起業チャレンジセンターですでに広報セミナーをやってもらっていたということもあり、行政のことをある程度理解してくれていると思いました。また、社会性に焦点を当てた広報のやり方が、公共性の強い自治体になじむのではないかとも考えました」。
研修は3回にわたって実施。各課の担当者だけでなくリーダー層にも参加してもらうという、同市としても初の取り組みでした。実施してみたところ、「これまでは自分たちの伝えたいことだけ発信していましたが、プレスリリースを見るメディア側の視点や考え方を踏まえた上で発信することが重要、ということを知りました」と村井さん。実例や成功事例が豊富だったのも分かりやすかったと言います。
プレスリリース相談が増加。広報に関する共通言語も増えた。

豊中市の全102部署が受講し、弊社としても手ごたえを感じました。
村井さん自身が「特に勉強になった」と感じたのは、豊中市の過去のプレスリリースをもとに、別の切り口を考えるワークショップ。「研修を受けたからといって、いますぐ実践できるわけではありませんが、数多くの気づきを得られました。プレスリリースを意識することで、施策やイベント企画自体も『よりたくさんの人のために』という発想に変わってくると思います」。また、リーダー層に参加してもらったことがよかったとも。「プレスリリースを書くのは担当者というケースもありますが、決定するのは上司。上司の立場にある皆さんにプレスリリースの考え方や意味を知ってもらったのは有意義でした」と話します。
セミナー後のアンケートでは、「マスコミが記事にしやすいようリリースを書くことが大事だと分かった」「社会性や独自性をポイントにすることが学べた」など、視点の変化が感じられる感想が寄せられました。また、「このテーマで伝わるものを書くにはどうすればいいか」という他課からの相談も増えました。
「研修によって広報に関する共通言語が増えたので、他課に説明しやすくなりました。相談が増えるのは大変ですが、リリースを数多く書くことで伝え方がうまくなればと思います。プレスリリースを出すこともメディアに掲載されることも、私たちにとっては目的ではなく手段。本当に目指したいのは、市の情報をきちんと届けることで、市民生活を豊かにし、みなさんに『豊中市に住んでよかった』と思ってもらうことです」。
(取材・文/高野朋美)
プロフィール
法人名 | 豊中市役所 政策企画部 広報広聴課 |
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